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下妙典春日神社 獅子頭お披露目渡御 レポート

下妙典春日神社で4月22日(土)、修繕を終えた獅子頭のお祓いの神事とお披露目の渡御が行われました。

(関連記事:修繕前の様子お披露目告知

 

神社に到着するやいなや、目に飛び込んできたのは金色から赤胴色に変わった獅子たち。

印象がかなり変わりましたね!

修繕前
修繕前
修繕後
修繕後

 

実は以前の金色は経年により表面が剥げて出てきた色で、本来はこの赤みがかった色だったのだとか。

確かに修繕前の獅子をよく見て見ると、赤っぽいところが残っていましたね。

 

獅子は、頭の上に角があるのが雄で、宝珠を載せているのが雌です。

以前は雌の鼻綱は赤でしたが、今回は初お披露目ということで白にしてありました。

雄
雌

 

獅子の揉みでは、雄と雌の担ぎ棒を組んで一緒に揺する場面がありますが、

 

相手の台輪に担ぎ棒が当たる部分が、どうしてもこのように傷付いてしまうんですね。

修復前の台輪
修復前の台輪

 

そこで今回は、担ぎ棒の先端にウレタンを入れて晒を巻き保護したそうです。

きれいになったばかりの台輪を、傷付けたくないですものね。


 

渡御の前に、白幡天神社(市川市菅野)の神職による神事が行われました。

行徳の神社の多くは、船橋大神宮を本務社としていますが、ここ春日神社は行徳で唯一、白幡天神社を本務社とする神社です。

 

お宮での祝詞奏上の後、獅子頭をお祓いし、

 

関係団体各代表が玉串を捧げました。

獅子保存会
獅子保存会
春日神社総代
春日神社総代
妙典三丁目自治会
妙典三丁目自治会

 

 

その後、獅子保存会会長よりごあいさつ。

その中で、今回獅子を保管する箱に明治10(1877)年と書かれているのが確認できたとの話がありました。

 

その保管箱とは、こちらのことだと思われます。

だいぶ年季が入っているなと思っておりましたが、150年近く前のものだったのですね。

この獅子頭は安政年間(1854~1860)の後藤直光作と伝えられていますが、正確な年などはわかっていません。

今回の修復の際、新たに何か判明することがあるかと期待しましたが、残念ながら何も出てこなかったそうです。

 

 


 

 

さて、いよいよ渡御の開始です。

まずは境内での揉み。

 

地すりは、内向きで跳ねながら回るのが下妙典流。

他の町の神輿の地すりとは大きく異なりますね。

 

 

そしてさし。

獅子を片手で差し上げたまま、ゆっくり回転します。

今回、初めて女性の担ぎ手が加わりましたが、高くさす場面ではさすがに背が届いていませんね笑。

 

このまま雄と雌が近付いていき、担ぎ棒を相手の台座に押し当て、

一緒に揺すったり、押し合ったりします。

獅子の揉みの見どころの一つです。

これは雄と雌の交わりを表しているとする説や、雄と雌が力比べをしているという説などがあり、どちらが正しいかはわかっていません。

 

ちなみに、同じく獅子頭の渡御を行う関ケ島の胡籙神社でも、雄と雌が顔を突き合わせる場面がありますが、関ケ島では後者(力比べ説)とされているそうです。

関ケ島の獅子頭は、台輪に載せずに渡御を行います
関ケ島の獅子頭は、台輪に載せずに渡御を行います

 

獅子頭を高く放り上げる「放り受け」で、一連の揉みが終わります。

 

揉みがバッチリ決まったところで、境内を出発。

神社前の通り(旧成田街道)に出ます。

今回のルートは、上妙典との地境から、反対の行徳小学校方面への突き当たりまでの直線道路のみ。

間違ってもルートからはみ出さないようにね笑。



 

高張提灯を先頭に、

 

雄、雌の順番に獅子が連なります。

掛け声は、「あんろ」「わっしょい」。

獅子独特の掛け声です。

 

ルート端のローソン前では、指定区域外へ出ようとする担ぎ手たちと、それを阻止する役員たちとのお約束のせめぎ合いが繰り広げられます。

「駅へ行っちゃえ!」のヤジも飛んでいましたが、なんとか阻止し、無事Uターンしました。

 

途中、揃って行徳揉みも披露。

境内での揉みのときより、雄・雌のタイミングが合うようになっていました。

 

素直にルート内のみを行き来するのかと思いきや、突然こちらへ寄り道。

中華料理かさやさんは、獅子お決まりのコースです。

 

そして神社前で再び雄・雌揃って揉み、

 

しばしの休憩をはさんだ後、先に雄がすんなりと宮入りしちゃいました。

 

境内で何度か揉みを披露し、雄の納めとなりました。

 

 

残るは、雄よりやんちゃとされる雌。

2基では不足しがちだった担ぎ手も1基に集中し、パワーアップです。

 

こうなったら、やりたい放題。

もちろんローソン前でも見せ場を作ります。

(指定区域からは出ませんでしたよ。)

 

なんとかUターンしたかと思うと、今度はルートを逸れて、関係者宅を襲撃しに行っちゃいました。

 

そしてまたまたかさや襲撃の図。

 

床屋や別の関係者宅も次々と襲撃されます。

昔の祭りでは、寄付金が少ない家を襲撃する風習があったようですが、これは親しみを込めたごあいさつのようです笑。

 

上妙典との地境を越えるんじゃないかという場面もありましたが、そんなギリギリのお遊びをしながら、いよいよ宮入りへ。

 

入れろ入れるなの攻防を見せながら、3度目のチャレンジで、雌も宮入りしました。

いえね、本来は担ぎ手たちが「もっと揉ませろ」と粘る場面ではありますが、実際のところ、担ぎ手たちも体力限界で、もっとどころではなかったような(小声)。

 

境内でも何度か揉みを披露した後、3本締めでこの日の渡御の納めとなりました。

 

 

このお披露目渡御を盛り上げてくださった担ぎ手の皆さま、そしてお囃子の皆さまです。

皆さま、本当にお疲れ様でした!


 

 

この様子は動画にもまとめてあります。


 

今回、獅子頭が美しく修復されたことで、地元の方たちはますます愛着を深め、獅子を大切に守っていくという思いを強められたことと思います。

来年の祭礼では、さらにパワーアップした獅子の渡御が見られそうで、楽しみですね。

 

 

最後に、今回大きく変わったことについて特筆しておきたいと思います。

それは、本文でも少し触れましたが、女性の担ぎ手が初めて加わったことです。

 

これまで、獅子の担ぎ手は男性のみとされ、女性が担ぐことはできませんでした。

これは春日神社だけの話ではありません。

行徳の白装束の祭りのほとんどが、担ぎ手は男性のみとされ、女性は神輿に触ることすら禁じられていました。

しかし、近年多様性が尊重される時代へと変わり、時代の流れに沿うか、はたまた祭りの伝統を重んじ遵守していくかの分岐点にきているように感じます。

 

実際のところ、行徳の各祭りを見ていて感じるのは、圧倒的な担ぎ手不足です。

祭り本来の「渡御は氏子の担ぎ手たちによる神事」という姿は、もはや過去の話となり、他の地域の担ぎ手たちの助けを借りてなんとか祭りが成り立っているというのが現状です。

担ぎ手は交代要員も含めると担ぐ人数の3倍以上は必要とされていますが、これも十分に足りていない状況です。

この先も祭りを存続させていくためには、もう男性のみとは言っていられないところまできているのかもしれません。

 

今後は行徳でも女性も担げるようにする祭りが増えていくようです。

今後の動向を注視していきたいと思います。

 

 

 

 

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