湊新田胡録神社の祭礼名物、笹団子。
参拝するといただける、紅白の小さな餅のついた笹です。
この笹を煎じて飲むと熱病に効くと伝えられ、昔はどの家でも神棚に飾ってあったそうです。
地元のご長老の話では、笹は昔から民間薬としても使われてきた薬用植物で、餅は滋養の意味があるのだとか。
熱病に効くという話は単なる言い伝えではなく、きちんとした理由があるんですね。
鍋に水とこの笹団子を入れて煮ると、餅が溶けてドロッとしますが、それを飲むのだそうです。
実際に飲んでいる人は今もいらっしゃるとか。
ということで、ここでいきなりチャレンジ企画!
今回自分も、実際に笹団子を煎じてみました(笑)。
まずは教わったように、鍋に水と笹団子を入れて火にかけます。
水の量はこんな感じでいいのかな…?
しばらくグツグツと煮ていると、水が色づいてきました。
餅も溶けてドロッとしてきています。
そしてできあがったのがこちら。
思った以上に緑。そして濁っています。
これはまさに「ドロッとした笹のお茶」ですね。
餅が入っている分、滋養強壮にも良さそうな感じはします。
少しなめてみましたが、笹の味にほんのり餅が感じられ、まぁ想像どおりのお味かな…。
今は実際に煎じて飲む人は少ないかと思いますが、縁起物として、いただくとうれしいのがこの笹団子ですね。
では、その笹団子はいったいどのようにして作られているのでしょうか。
笹は神社で栽培
この笹は、神社の境内で育てられています。
こちらは刈り取り前の様子。たくさん生い茂っていますね。
こんな看板が付けられているということは、笹を盗む不届き者がいるということでしょうか。
勝手に取っちゃダメです!
バチがあたりますよ!
団子付け
この笹を、祭礼日(7月14日)の約1カ月前に刈り取り、洗って乾燥させます。
その1週間後、乾燥した笹に餅を付ける作業を取材させていただきました。
こちらは、地元の和菓子店から届いた紅白の餅の一部です。
今回、全部で2斗4升注文したそうです。
単位があまりピンとこないので、調べたところ、1斗=10升=15㎏、1升=10合=1.5㎏とのこと。
つまり2斗4升は240合、重さでいうと36㎏ということになりますね。
はじめに、作業する人一人分のサイズにちぎって分けていきます。
これを赤と白で1セットにして、乾燥しないように湿らせた布に包みます。
包んだものは、このように並べておきます。
作業する人は、この一包みを手にし、餅をさらに小さくちぎりながら笹につけていきます。
この日は神社総代や自治会役員をはじめ、新和会や婦人会の皆さんら総出で作業されていました。
笹切リ
さて、団子付けから約2週間後(笹の状態からすると、本当は1週間後がいいそうです)。
餅が乾いたところで、笹を配布用の長さにカットしていく作業を再び取材させていただきました。
今回のメンバーは、自治会役員と婦人会の皆さんです。
見てください、この笹の量!
気の遠くなるような作業となりますね。
こうして一つ一つていねいにカットしていきます。
笹の形や餅の付き方によって、どうしても配付用に「使える笹」と「使えない笹」ができてしまいます。
これを選り分けていきます。
一昨年から、この「使えない笹」数本を輪ゴムで花束のようにまとめて配るようにしたそうです。
そういえば自分も、そんな感じのものをいただいたことがあった気がします。
こうして無駄が出ないよう配慮されたものだったんですね。
笹団子作りを45年続けているという婦人会会長の篠田美咲さんにお話を伺いました。
「毎年、作る側も楽しみながら準備しています。
これからも、昔から続く伝統を絶やさず、守り続けていきたいですね」
実は以前、餅をやめて七夕飾りのようなものに変えようという話が出たこともあったのだとか。
変えずに続けていただいて本当にありがとうございます。
伝統が長く継承されていく裏には、こうした方たちの思いや努力があることを忘れてはいけませんね。
いかがでしたか。
今まで参拝後に何気なく受け取っていた笹団子も、こうして手間暇かけて作られている様子を知ると、見方が変わってきますよね。
当日は、笹団子に込められた湊新田の皆さんの思いも感じながら、ありがたくいただきたいものですね。
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