行徳のお隣・浦安の元町地域(埋め立てにより市域が拡大する前からあった地域)で6月14日㈮~16日㈰、4年に一度の浦安三社例大祭が行われました。
4年前の前回はコロナ禍で中止となったため、実に8年ぶりの開催となります。
この祭りは、堀江の清瀧神社、猫実の豊受神社、当代島の稲荷神社の三社による合同祭で、宮神輿5基のほか、大小約80の神輿や山車が「まえだ!まえだ!」の掛け声で威勢よく町を練り歩きます。
「地すり」と呼ばれる独特の揉み方が最大の見せ場となります。
自分が過去にこの祭りを見たのは、一度だけ。
8年前の当代島です。
当時はどれが宮神輿でどれが町神輿かもわからない中、行徳とは似ているようで異なる浦安の地すりを興味深く眺めていたのを覚えています。
今回当サイト読者の方から、この祭りも紹介してほしいという声をいくつかいただきましたが、自分がほとんど知らない祭りを紹介するのは難しいので、今回は無理せずシンプルに祭りを楽しみ、気が向いたらレポートを書く程度にしようと決めていました。
実際のところ、自分の性格的にその程度にしておいて正解。
この祭りは3つの神社で同時進行なのでとても追いきれないし、そもそも町神輿が80基って…。
昨秋の行徳の祭りレポートすらいまだ終わっていない自分は、決して手を出してはいけないやつですね(笑)。
ということで、今回は宮出しも宮入りもパスし、興味のある場面だけつまんで見ることにしました。
とはいえ、ついついたくさん撮影してしまったので(笑)、2回に分けてレポートすることにします。
6月9日㈰ 祭り1週間前
まずは祭りの1週間前の日曜日。
行徳のお囃子団体・湊囃子連さんが、猫実五丁目会さんの「曳き回し」を行うと伺い、「曳き回し」とは何ぞや?とハテナ状態のまま、とりあえず見に行ってみることにしました。
ついでに「すっかり祭り仕様になっている」という噂の浦安の町も見ておこうかと。
確かにこれはすごい。
町のいたる所に提灯が掲げられ、1週間前なのにすでに町全体がお祭りムードです。
細い路地にも、いたるところに町会の御仮屋が設けられ、提灯が飾られています。
驚いたことに、同じ通りでも、少し歩くとすぐ先にまた別の町会(同好会も?)の御仮屋が現れるんですよ。
いったいいくつあるのか…。
想像以上の規模に、衝撃を受けました。
すでに神輿が展示されているところもちらほら。
手づくりの神輿も多いようですね。
べが舟をモチーフにしたこちらの山車も、手作りだそうです。
浦安ならではで、おもしろいですね。
こんなに大きな看板を出している町会もあります。
祭りへの熱い思いが伝わってきます。
大幟の高さもスゴイ。
この幟の上についている吹き流し。
気になる…。
猫実の吹き流しは、佃島の住吉神社に習い、ヒノキのカンナ屑で作ったものだそうです。
(追記)豊受神社東組連合さんのFacebookにこの大幟の準備の投稿がありました。
当代島のもカンナ屑に見えますね。
ご存じの方、コメント欄またはこちらから教えてください。
※志ん一さまより、「麻ではないか」とのコメントをいただきました。確かにカンナ屑というよりはそう見えますね。ありがとうございます。
引き続き情報をお待ちしております。
堀江では特に見かけなかった気がしますが、どうでしょうか。
ちなみに行徳の妙典地区では陰祭りの時に神社境内に国旗を掲げますが、旗棹の上にススキを付けます。
地域によりそれぞれ特徴があって興味深いですね。
さてさて、町の様子はこれぐらいにして、ここからは、この日の目的であった「曳き回し」の様子をお伝えします。
そもそも「曳き回し」とは何ぞや?と思い、地元の数人に伺ってみたところ、各町が飾り付けの終わった神輿をトラックに載せ、他の町にお披露目してまわることだそうです。
別名「見せびらかし」ともいうのだとか(笑)。
今回見せていただいた猫実五丁目会さんのように1週間前に行うところもあれば、祭り前日ぐらいに行うところもあるそうです。
自分が聞いたいくつかの町会では「まだこれから」と話していました。
猫実五丁目会さんは、3台のトラックにぬいぐるみの子ども神輿、お囃子、町会神輿を載せてまわっていました。
豊受神社や各御仮屋の前では、「まえだ!まえだ!」「景気をつけろ!」と大盛り上がり。
各御仮屋もメンバー総出で出迎え、「まえだ!まえだ!」と一緒に盛り上がっていました。
これが浦安文化なんでしょうね。
この様子は、YouTubeに動画をアップしておりますので、よろしければ以下をクリックしてご覧ください。
6月14日㈮ 宵宮
さて、宵宮当日となりました。
宵宮での自分の一番の楽しみは、お宮の前や御仮屋に宮神輿が飾られる姿を見ること かもしれません。
あとは出番を待つばかりとなった神輿が誇らしげに輝く光景を見ると、その祭りに携わる方々のさまざまな「思い」を感じて胸が熱くなってしまうんですよね。
最初は清瀧神社です。
宮神輿は2基。
屋根は珍しい八棟(やつむね)造りで、行徳の後藤直光作と伝えられています。
獅子頭も展示されていました。
清瀧神社の手水舎は、花手水が素敵でした。
近くの花屋さんからの奉納だそうです。
こういう奉納もあるんですね。
続いて豊受神社です。
こちらも宮神輿は2基。
左奥の塗りの神輿が行徳の浅子周慶作、右奥の白木の神輿が行徳の後藤直光作です。
どちらも大きさは三尺で、大正14(1925)年に製作されたそうです。
お囃子は、神社前では丸音會さんが神輿を迎え、境内の舞台では浦安囃子保存会さんが演奏されていました。
丸音會さんは行徳の湊囃子連さんの師匠で、行徳では押切の祭礼や行徳まつりで演奏してくださっています。
そうこうしている間に、最初の町会神輿が境内に入ってきました。
この後、20時からの御霊遷しに向け数十基の神輿が続々と集まるようですが、人が増えて身動きできなくなりそうなので、自分はここで離脱し、当代島に向かうことにしました。
最後はその稲荷神社です。
宮神輿は1基。
行徳の後藤直光作で、大きさは二尺八寸、昭和12年の製作です。
稲荷神社は、他の2社と比べて閑散としていました。
まだ人が集まっていなかったというのもありますが、その静けさはお囃子が無いからだと気付きました。
宵宮にお囃子が無いのは、寂しいな…。
そのまま待つこと30分。
ようやく町会神輿が入ってきました。
その後大小の町神輿が続々と集まり、境内が一気に賑やかになりました。
稲荷神社に集まったのは4町会のようでしたが、最後の町会が入ってくる頃には日が落ちて暗くなっていました。
いつの間にか観衆も境内いっぱいになり、身動きできない状態になっていました。
そこからさらに待つこと30分。
20時前に役員の方からごあいさつと諸注意がありました。
そして、灯りを消して御霊遷しが行われます。
御霊遷しは写真撮影禁止のため、画像はありません。
少し驚いたのは、御霊を携えた神職の方が拝殿から外に出てきてから灯りが消されたこと。
行徳の祭りでは、灯りを消して真っ暗になった後に神職の方が出てくるので、御霊を携えた姿は見えませんし、見せてはいけないという認識です。
稲荷神社ではばっちり見えてしまったので、こちらが変にドキドキしてしまいました。
御霊を遷し終えた神輿が、町会神輿から順番に、各町会の御仮屋に戻っていきます。
拍手で見送られ静かに退出するところもあれば、「まえだ!まえだ!」の掛け声で威勢よく出ていくところもあります。
ライトアップしている神輿もありました。
最後は宮神輿です。
一瞬で前を通り過ぎましたが、やはり風格がありました。
狭い参道を静かに進み、遠くに行ってしまいました。
船圦緑道に出た宮神輿は、御仮屋の前で待機していました。
何とか追いつきました!
大小の神輿が連なり、この緑道を威勢よく練り歩きます。
渡御はまだ続いていましたが、21時前に離脱し、一日目の祭り見物を終えました。
最後に、この日に撮影した町神輿をアップしておきます。
2024浦安三社例大祭レポート②に続きます。
下の各カテゴリをクリックすると、 同じカテゴリのすべてのブログ記事を閲覧できます。
また、その下のアイコンをクリックすると記事のシェアができます。
↓↓↓
コメントをお書きください
志ん一 (日曜日, 23 6月 2024 12:42)
幟の上にあるのは、麻では?
あと、シンデレラ城の左側の神輿は後藤直光作の、現中台レンタル神輿ですね。元は東京の某町会神輿でほぼ無傷の完品でしたね。後藤直光の作人札が無い位でした。
これは買いです。欲しい個人や町会があったら、買った方が良い当たり神輿です。
志ん一 (日曜日, 23 6月 2024 12:52)
七世後藤直光作
唐破風の三味胴、台輪幅二尺三寸
製作年は昭和二十年後期〜三十年位を推定。
わっしょい!行徳 (日曜日, 23 6月 2024 16:00)
志ん一さま
いつもありがとうございます。
言われてみれば、確かにカンナ屑というよりは麻のようにも見えますね!
本文に注釈を入れさせていただきました。
ピンクの神輿はシンデレラ城のようにも見えますが、トランプ城らしいです(笑)。
中台さんのレンタル神輿に後藤神輿があるんですね。
いつもながら目利き力も後藤情報も素晴らしいの一言です。
志ん一 (日曜日, 23 6月 2024 17:55)
ありがとうございます。
一段目は和紙を切ったもの。お祓いの禰宜さんが持っている御幣の紙垂
二段目は確かに檜に鉋をかけたものでしょう。幅に厚みがある。
三段目は麻の様にも見えます。
四段目は秋祭り、ススキですね。
耐久性の点でいえば、麻がダントツですね。
わっしょい!行徳 (月曜日, 24 6月 2024 01:05)
志ん一さま
今回行徳の工務店さんが、豊受神社の東組と西組にカンナ屑を納品したそうです。
なので豊受神社の吹き流し(写真にキャプションを追記しました)はカンナ屑で間違いありません。
猫実のもう1枚もカンナ屑に見えますので、同じものが使われたのかなと。
当代島の画像2枚は不明ですが、確かに麻に見えますね。
麻は神事には欠かせない素材なので、可能性大ですね。
わっしょい!行徳 (木曜日, 27 6月 2024 11:34)
豊受神社東組連合さんのFacebookに大幟の準備の投稿がありました。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=443492114980136&id=100079580523403&locale=ja_JP
本文にも追記しておきました。